「はい」


湯気の出てるマグカップをわたしに渡す先生は、もう無表情に戻っていた。

でも、ちょっと前から思ってたんだけど、先生の無表情を見ても無愛想とは感じないんだよね。

ちゃんと話してくれるし、目も合わせてくれるようになったし。

先生、なんだかんだちゃんと人間の優しさがあるし。


現に、間違いを教えてくれたり参考書貸してくれたり、
コーヒーを淹れてくれたり……って。


「先生、わたしどうしたらいいんですか」


マグカップを受け取ったわたしは、入り口に突っ立ったまま。

先生はすでに自分専用の椅子に深く腰掛けてコーヒーを味わっていた。


「自習なんだし、いいんじゃない」


えっなにが。


「さっきの授業でわからないとこがあったなら、見せて」


え、なに……教えてくれるってこと?