先生が、笑った。
ロボットみたいに表情が変わらない、斎藤先生が。
笑った…
キーンコーンカーンコーン…
「あっ」
次の授業が始まるチャイムが鳴ってしまった。
忘れてた、慌ててたこと。
「次、お前らのクラス自習だよ」
チャイムを聞いてわたしが焦ってるのに気づいたんだろう。
慌てなくて大丈夫、そう言ってるように聞こえた。
「初耳です」
「朝から知ってるより、突然今日は自習ですって言われる方が嬉しいだろ」
先生はそう言うと、この教室の隣にある準備室に、
黒板の横にあるドアから入って行った。
……え。
取り残すの?

