間違った公式を消し、正しいものを今度は赤ペンで綺麗に書く。
これでよし。
後で昨日の問題解き直してみよう。
「いくら計算しても合わなくて。なんでだろーってモヤモヤしてたんです」
てか、先生がさっき見てたの、わたしのノートだったのか。
なんか恥ずかしい…。
ノートを閉じて、わたしよりずっと背が高い先生を見上げた。
すると、いつもより少しだけ表情が変わった先生がいた。
少しだけ、驚いてる?
「遅れてた分、やってるのか?」
「あ、はい。まずいと思って」
やってるわりには、進歩が感じられないのだけど…。
「そうか…」
そう呟いて先生は、教卓に戻り、引き出しから何かを取り出した。
教科書とはまた違う、参考書みたい。

