キャプテンに、顧問から任されていた今日のトレーニング内容を伝え、少しだけ練習を見た後、

俺はすぐに、物理室に戻るために体育館を出た。


授業中ろくに話も聞いてないような奴が、部活中は真面目に練習してるのを見れた。


最初は面倒だとも思ったけど、これはこれでよかったかもしれない。


そんなことを考えながら物理室の前に着くと、ドア越しでも"彼女"の姿が目に入る。


……寝てる。


静かにドアを開けるけど、それでもガラガラと音が鳴ってしまう。

…が、起きる気配はなさそうだ。


俺が出て行ってから30分程しか経ってないのに、サボるには早すぎじゃないか。

コーヒーも残ったままだし。


その前の席にすわると、スースーと気持ちの良さそうな寝息が聞こえた。


"彼女"、佐藤そらは、今年の4月にこの学校にやってきた転校生だ。


そして、俺が担任を任されているクラスの生徒でもある。