「どういうことですかッッ!?」

ジリジリとした日差しが痛く感じる夏。
大広間で食事を取っていた時。お父様の口から飛び出した言葉は氷のような冷たさだった。

「何度も言わせるな。おまえたちには家を出て行ってもらう。」

「なぜっ!?」

ショックのあまり言葉が出てこない妹たちの代わりに、あたしが疑問をぶつけると、
 
「もう魔法族世界会議で決定している事だ。
この私に反抗するということは、世界中を敵に回すと言うことだが?」

この言葉を聞くたび、無力さを実感してきた…幼い頃から。
あたしには世界をぶちのめすほどの力はない。

悔しさで、歯をギリギリと鳴らしていると、

「里穂お姉ちゃん、お父様のいう通りにしようよお…ここで張り合っても意味ないよお」

と、か細い声が聞こえた。

クリーム色の髪をツインテールにし、大きく丸いピンク色の目いっぱいに涙をためる末の妹。
名前は萌(もえ)。
あたしの名前は里穂。伝堂里穂(でんどうりほ)。

「そうだよ、姉貴。無駄な血を流すわけにはいかないんだから。」

そう言うのは一つ下の妹、凛(りん)。ショートの赤毛に朱色の目。

「そうね。お手伝い娘もいるんだし…ごめんね、萌。びっくりしたよね。」