【七海side】
バタン!と大きな音を立ててドアを閉める。
その瞬間、近くのベンチに座り込んで、膝を抱える。
屋上はいつも一人になれる。
もともとは人気な場所だったんだけど、告白の名所になってからは人がいない。
告白。
「............ぐすっ......ひっ、く...」
どうしていつもああなの?
喧嘩なんてしたくないのに。
私もバカだよ。
「...きら、いって...言っちゃ...った......」
嘘なのに。
嫌いになんて、なるはずないのに。
素直になれない。
「......ほん、とは......だいす、きなの...にっ......」
裕也が好き。
大好き。
ずっと前から、好きなのに。
言えない、私の意気地なし。
ぐっと涙を拭って、顔を上げる。
「......確かめたい」
あいつが、私をどう思っているのか。
聞きたい。
「...っし、戻ろう」
ここで泣いててはダメだと思って、立ち上がる。
私の長所は、いつも笑顔。
ほら。
明るく、花が咲くように笑って。
ドアを開けて、階段を駆け下りる。
笑顔のおかげかわからないけれど、少し、不安が軽くなった。

