図書室に入ると、珍しく人が少なかった。

少なかった、というか、一人しかいない。

窓際の席で一人読書をしているのは、整った顔をした男の子。

彼は、氷室 真斗。

私の学年で一番の美形。

イケメンだからってファンクラブまでできちゃったとか。

彼はいつもあの席に座っている。

一瞬目が合ったけれど、すぐにそらされてしまった。

......別にいいけどね。

彼とは席が隣だけれど、あまり話したことはない。

だって接点がないんだもの。


............っていうか、なんでこんなに人が少ないんだろ。


......あぁ、そっか。

今日から中庭が開放されたから、みんなそっちに行ってるのかも。

疑問が晴れてスッキリした。

てくてくと歩いて、受け付けに行き、溜まっている本の整理を始める。

まず、ジャンルにわけて、それから棚に戻す。

ちゃんと名前順にね。

「.........よし、と」

歴史物から、順に戻していく。


........................けれど。

身長153cmの私には届かない場所が多いわけでありまして。

「............届かないし」

一番上の棚にはもちろん、届かない。

「なんのっ......!」

ジャンプでどうにか入れようとするけれど、やっぱり届かないものは届かない。

.........ちぇ。