【優花side】


私が呼び出したのは、放課後4時。

みんながいなくなった教室。


すぅっと息を吸って、吐く。



私も七海も、裕也くんに直接呼び出しのメモを渡せなかった。

二人で彼の机に入れただけ。


だから、届いたかどうかわからない。

お願い、来て。



もう今は、それだけでいい。

もう一度息を吸い込んだとき、ドアが開いた。

「っ、」


開いたドアから入ってきたのは、メモをひらひらさせた裕也くん。

「優花?どうした、これ」


私を見て歩み寄ってきた裕也くん。

「、あのっ」

「?」


言うと決めたのに、いざとなったら尻込みしそうになる。


後ろに下がって、

なんでもない、呼び出してごめんね。

って、言いたくなる。




それでも。




ダメ。言わなきゃ。


七海と決めたの。





私の気持ちに嘘をつかないで。




今、伝えなきゃ。

鈍感な君にだから、口に出して言わなきゃ。

「あのね」

「?」


「好きです............」