【優花side】
家に帰って。
とりあえずメイクポーチとヘアメイクの道具を用意してみたけれど。
「............どうしよう」
だいたい、よく考えてみれば、メイクなんて人にやることが多く自分になんてやったことがない。
から、どういうメイクが似合うのかすらわからない。
...............。
と、とりあえず。
「い、色......は」
肌の色は白い方だから...濃いものよりは、薄い、淡い系?
それでいくと、リップとチークは...赤よりもピンク?
あ。でもオレンジ系もいいかも...?
...............ダメだ、まったくわからない。
じ、じゃあヘアメイクからしてみる...?
アップにした方が、裕也くんの好みっぽいな......。
でも、似合うかどうかでいったら...編み込みとかの小さいアレンジの方が.........。
どうしようまったく決まらない!!
「うう......」
悩みこんでしまった時、スマホが鳴った。
「.........?、七海から...?」
分面には
『明日、放課後ね。
違う場所で呼び出して、裕也がどっちに行くか!!
正々堂々と勝負だよ!(笑)
......もしアンタが勝ったら
めっちゃ喜んで、盛大に祝ってあげる!』
と、書いてあった。
「......七海らしいな」
そっとスクロールすると、続きがあった。
『アンタはナチュラルメイクの方が似合う!!むしろリップだけでいい!あんまりいじらないこと!!』
「...ふふ、七海ったら。ライバルにアドバイスしてどうするのよ」
ふわふわと暖い気持ちになって、私はリップ以外のメイク道具をしまった。
「さて、そしたらヘアメイクでも頑張りますか!......あ」
私はふと思い出して、スマホを起動させる。
そのまま七海に宛てて
『ありがとう、元気でた。
七海は髪短いし不器用だけど、ウェーブくらいならできるでしょ。
毛先の方だけウェーブかけたら可愛いと思うよ』
と送信した。
「......明日か」
頑張らないと。
どう足掻いたって、きっと彼は七海が好き。
けど。
「...やれるだけ、やる。そしたら、諦められる」
もちろん、それで変わるのなら嬉しいけれど。
きっと、そんなことはないから。
.....................あ。
私はまたスマホを操作して、七海に文面を送信した。
『七海、ごめんなさい。
あのね、やっぱり明日、先に告白させてくれないかな。
言えないのは、辛いから』
それについて七海からの返信は、『わかった』という一言だけ。
...............卑怯だって、わかってる。
彼の気持ちを知りたいだなんて。

