【優花side】
その日はずっとおかしかった。
私もそうだけど、七海が。
ホームルームが終わると、いつもはハイテンションで話しかけてくるのに、今日は私の机にも来なかった。
具合でも悪いのかな?
そう思って話しかけても、返ってくるのは’’大丈夫’’だけ。
お昼休みは保健室に行く、って言っていたけれど、迎えに行ったけれど先生に’’来てない’’って言われたし。
「どこ行っちゃったのかな...」
「おっ、優花ー!」
キョロキョロと廊下を見回していると、声をかけられた。
「?」
振り返ってみると、駆け寄ってくる裕也君がいた。
「なぁ、七海しんね?」
「ううん。私も探してるとこ」
’’まじかー’’といいながら頭をかく彼。
「七海に何か用があるの?」
「いや、あいつさ、今日なんかおかしいような気がして」
「裕也君も?」
「うん。やっぱおかしいよな」
「うん...なんか、避けられてるっぽい」
きょとんとした裕也君が、歩き出したから、つられて私も隣を歩く。
「んー。お前が避けられてるって、相当だな」
「うん...なにかしたのかな、私」
「いやいや、それはないだろ.........って、あれ、七海じゃね?」
「え?」
彼の視線の先には、屋上につながる階段。
そこには確かに七海の姿があった。
......でも、あれ。
「......一緒にいるの...氷室君...?」
「............」
七海と一緒に階段をおりてきたのは、あの氷室君だった。
それも、とても仲が良さそうに。
「なんであの二人が...」
「...............」
「......裕也君?」
反応がないので彼の顔を見上げると、真っ直ぐに二人のことを見つめていた。
驚きとか、悲しみとか、いろいろな感情が混ざっているような目で。
「あの...」
「........................まじかよ...」
「え?」
裕也君がやっと発したのはその一言だけ。
「......」
あぁ。そうか。
わかってしまった。
ううん。薄々気がついてた。
見ないふりしていただけで。
認めたくなかっただけで。
彼はきっと、
七海のことが好きなんだ。

