ザクッ。ザクッ。

砂利が敷き詰められた道を歩く。

一人歩く私の周りには、幸せそうな恋人たち。

あの二人のような。


ポロリ、ポロリ。

涙が溢れる。

とめどなく、あふれる。

右手でそれを拭いながら、思うのは二人。

.........いいの。

仕方ないの。

あの子の方が、仲がいいし。

あの子の方が、一緒にいる時間も長いし。

あの子の方が、可愛いし。

..................そうだよ。

「...あの子の方が、可愛いの」

知ってる。

知ってるよ。

だけど。


人混みを抜けて、たどり着いたのは、大きな木。

その木に背をあずけて、涙をこぼす。


............だけど。

「...うまくいかないで............」

...............嫌だよ。

だって。

せっかく気づいたの。

初めてなの。

諦めたくないの。

でも、わかってるの。

「...自分で逃げたのに、何言ってんだろ」

気付いたこの想いは。

もう、遅いの。

でも、だけど。

じゃあこの気持ちは?

私は、まだ。

諦めたくないから。

初めての感情を、自分で消したくないから。


「...ごめんね、七海」

涙を拭う。

もう、涙は出てこない。

「......好きなの。だから」

悪あがき、させてね。