「うおっ!すげぇでけぇ花火!!......ん?どした?」


裕也の耳には、届かなかった。

こんなにも、近い距離にいるのに。

たった10cm。

その距離が、とても遠い。

「......ううん、なんでもないや」

無理に笑顔を作って、精一杯笑う。

「ふーん。てゆーか、今の見たか?めっちゃ綺麗......」

そう、嬉しそうに話し出す裕也。



.........今は、まだいいや。

ちょっと悔しいけど、でも。

こいつの笑顔で、全部無くなっちゃった。

今はただ、愛しい。

こうやって、隣で笑ってられたら。

まだ、手をつないだり、抱きしめたり、できないけど。

今はまだ、いいや。

いつか、絶対言うから。

それまで、待っててね。裕也。