【七海side】

ついに花火大会当日。

突然ですが、ピンチです。


「っごめん、遅れた!!」

浴衣なんて、着たことないからわからなかった。

まさかこんなにも準備に時間がかかるなんて!!

というわけで、待ち合わせ時間から10分遅れて到着。

「おっせーっつの!お前な、誘っといて遅れるたァいいどきょ......」

裕也が怒りながら、スマホから目を離して私を見る。

...そして見た瞬間、降ってくる沈黙。

え、なに、怖いんだけど。

裕也はそのままじろじろと私のことを見る。

「......おま、そのカッコ......」
「あ、えと.........変?」
「.....................いいんじゃねーの?」

ふいっとそっぽを向いてそう言う彼の頬は、少しだけ赤くなっていて。

か、

かわいい......。

「あ、りがと」

なんとなく言葉がカタコトになる。

うわぁ、嬉しすぎる。

いろんなところを知る度見る度、裕也のことが好きになっていく。