「うわぁー、だっせ」

またキツいタバコの匂いが鼻にまとわりついて頭が痛い。
また俺は世間で言うヤクザの網戸にいた。
「勉強しかできねーのかよ」
古びきしんだガラスのテーブルの上に置かれた拳銃を見ては、俺はなんて不幸なんだと思う。

「ライターくらいパクれって」
俺と同い年の金髪の新人が、俺の髪を引っ張った。


さかのぼること約10年ほど前。
山中で死んでいた俺を、ここの森戸組の組長が拾った。

ようするに、俺はヤクザに借りがあるのだ。