「上内 優です。英寺高校、理数科3年です。万引きしたライターの…使い道は特に。いいや、タバコは吸っていません。親は…いません。父は既に他界してますし、7歳の頃から大空学園という施設に引き取っていただきました。はい、もちろんです。もう絶対に、万引きなどしません。」

『くせぇ男。』
机の向こうの臭い女が、ニヤリと笑った。
「そうですか…英寺高校なら将来有望でしょうし…ともかく、大空学園の園長さん呼ぶけどいいかな?」
メガネの40代半ばくらいのコンビニの店長は、俺の返事も聴かず、部屋から出て行った。

どうしてここまで来て万引きをしなきゃいけなかったのか。
俺は10分前、コンビニでライターを万引きした。
この目の前の香水臭い女もだ。