「はぁ…はぁ…着いた…」
「ほら行くよ雪」
あたしたちは同窓会の行われる小さなカラオケボックスへと足を踏み入れた
何度か来たことのある場所なのに今日いつになく足取りが重い
そんな中店員さんにハツラツと話しかける李奈。
勢いだけで来ちゃったけどやっぱり不安だな
こうゆうところがダメなのかなあたし…
「どしたの雪、ほら、行くよ?43号室だって」
「う、うん…」
近づく部屋
体中に緊張が走る
心臓がうるさい
あぁもう…
みんなの前で恥かきたくないよ…
帰りたい…
「ここだ!」
いきなり李奈が叫んだ
「えっ!もう!?」
「え、何言ってんの?笑」
せめてもうちょっと時間が欲しかったよ…
ドアノブに手をかけようとする李奈
「ね、ねぇ李奈…あたしやっぱり…」
手前まできてつい弱音を吐いてしまう
「だーいじょうぶだって!ほら!笑って!!」
そう言って李奈はガチャッと勢いよくドアを開けてずかずかと中に入っていってしまった
「ちょっ…李奈…」
あたしの声は届かなかった
開いたドアが再び閉まる
どうしよう…どうしたらいいの
誰か助けて…
涙が出そうになった
同時に気分まで悪くなってきた
あたし…もう…
その時、みんなのいる部屋の向かい側の部屋のドアが開いた
「なぁ、あんた気分でも悪いの?」
こちらに向けて発せられた言葉だと解るのに時間がかかった
あたしは恥ずかしくなってその場を離れようとした
でも体が思うように動かない
あれ…あたし…どうしたんだろう…
「お、おいっ!」
