どれくらい経っただろう

鞄の中でケータイが鳴った

着信、李奈だ

「もしもし」

『雪!?あんた何やってんの!おっそい!』

「え?」

ふと時計を確認すると、12:00になろうとしている

「嘘っ!ごめん!時間忘れてた!」

『はぁー!?もう早くしてよー!みんな来てるかもよー?』

「わかったわかった!すぐ行く!」

電話を切った後すぐに後悔した

どうしよう…
あたしが行ったらこの子また一人になっちゃうよ

「ねぇ、お兄さんまだ…」

男の子に言いかけたその時、

駅の向こうからこちらに向かって勢いよく駆け寄ってくる人影があった

驚いたあたしはとっさに腰掛けていたベンチから腰を浮かせた

「あ!お兄ちゃん!」

え…おにい…
あ、この子のお兄さんか
びっくりした

「ごめん隼人、遅くなった!大丈夫だったか!?」

「大丈夫だよ!このお姉ちゃんがね、一緒に待っててくれたから!」

「え…」

お兄さんの目があたしへと移動する

「すみません、ありがとうございました」

お兄さんは申し訳なさそうに言った

「ちょっと用ができて…すぐ戻るから待ってろって言ったんですけど…思ったより長引いて…ほんとすいませんでした 隼人もごめんな?」

「あ、あたしは大丈夫です!」

そして約束の時間を思い出した
まずい…

「あたしちょっと急いでて…これで失礼しますっ!」

「あ!ちょっとまっ…」

呼び止められた気がしたけど
時間に間合わないと思ったあたしはその場を後にした。