「夜、寝顔を見ていても、もうこのまま一生目を開けないんじゃないかと思う日がある。明日になったら、急に倒れてしまうんじゃないかと思うこともある」
自分だけがこんなにも辛いんだと思っていた。
ジルの重荷になっているんじゃないかと不安な時もあった。
だけどそれは…自分の勝手な思い込みだ。
同じように辛い思いをしている人がいるのだ。
「今、この瞬間かもしれない。今日は大丈夫でも明日はわからない。大切な人がいつ死んでしまうかわからない…。こんな思いをするのは、私とクローだけで充分だ………」
ジルは泣き崩れてしまった。
サラはトキのことを思い出した。
呪われていながらもあんなに強く生きている人がいる。いつ死んでしまうかわからない自分の運命を完全に受け入れていた。
「…ジル、私はそんなに弱くないわ」
床に膝をつきジルの手を取ったサラの目には、もう涙は浮かんでいない。
「私はこの運命を受け入れるわ。その上で、この人生を生き抜くわ」
「サラ…」
「だって、せっかくジルがこんなに立派なレディーに育ててくれたんだもの。絶対無駄になんてしない。この腕で幸せになってみせる」

