とある少女の希望の光


「だけどやはりクローと話し合った結果、辞めることにした。リスクが高すぎるからだ」

「…どういうこと?」

「初めに言っておく。私とクローは呪いについてあらゆる文献を調べた。何か治す方法はないか、進行を食い止める薬はないか、同じ様な例で生き延びた人間はいないか…」



ジルの声が、いつもと比べ物にならないほど弱弱しい。
こんなにジルが小さく見えたのは初めてだった。



「だけど何も見つからなかった。…見つからなかったんだよサラ、お前を助ける術は何もない。絶望的な気持ちになったよ。こんなに大切なのに…なんて理不尽なことでお前は死んでしまうんだ…」

「ジル…」



「いいか、サラ。お前がトキ王子と結婚したとしよう。そのあとに生まれてくる子供はどうなる?」

「え…」

「その子供が呪われて生まれてくる可能性はかなり高い。呪いの辛さはお前自身よくわかっているだろう。そしてもう一つ。仮に呪われずに健康な子供が生まれたとしよう。その後…」

ジルは泣いている。
サラの目にも涙が浮かび始める。



「親が次々と呪いで死んでいくのは、どんな気持ちになると思う……?」