甘い鎖



昼休みが終わり教室に戻る。
午後の授業は適当に受けて
放課後になった。

日向は私の手を握って
何も言わずに教室を出た。
無言って…やっぱり機嫌悪いの?


通る道通る道、人に見られるけど
気にしてられない。


日向が何も喋らないから私もただ黙って
日向に引っ張られたままついて行った。



ようやく、日向が立ち止まった場所は
撮影スタジオ。


うわっ…
初めてこんなところ来た。

色んな人達が道具を運んだり
資料を見ながら話し合ったり
奥では撮影が行われていた。


日向は近くにいた女の人を呼んだ。


「中森さん」


中森さんと呼ばれたその女性は
日向を見て、ニコッと微笑んでこちらに来た。


「日向、お疲れ様。用意出来る?」


と、日向からカバンを受け取る
中森さんが、ふとこちらを見た。
中森さんは眉間にしわを寄せて私を見る。


「中森さんに紹介しておくよ。この子、俺の彼女」


と、私の頭をポンポンと軽く叩く日向。
それを見て中森さんは安心したような表情をして、私にニコッと微笑んだ。