甘い鎖




次の日。
朝早く起きて、
お弁当を作る。


日向のお弁当箱は
お兄ちゃんが使っていたもの。
お兄ちゃんは成人して一人暮らしをしている。



いつもよりも丁寧に作り
盛り付ける。

全部終わると、丁寧にやりすぎたのか
時間がかなり経っていた。


「いっけない。用意用意」


制服に着替え、メイクをして
荷物を詰めて慌てて家を出た。


学校についたのは、
チャイムギリギリ。



教室には既にほとんどの生徒が来ていて、日向も席についていた。


「友里ちゃん、おはよ♪」


ハルちゃんはいつも可愛い笑顔をくれるから、実は癒されている。


「おはよう〜」


と言いながら席に座る。



同時に先生が入ってくる。
ホームルームも終わり、一限目は数学。


隣の日向はスラスラと問題を解いているが、私は一問解くのにかなりの時間を要した。

私、数学は本当に苦手。
中学の時もいつも平均点ギリギリだった。



「はぁ…わかんない」


分からなすぎて、思わず口に出してしまった。


「どれがわかんねーの?」


すると、隣の日向が私の手元を覗き込んできた。


「…全部」


へへっと笑って言う私。
ふざけてないよ、本気で。



「俺が教えてやるよ」



日向はそう言って、一つ一つ丁寧に教えてくれた。
日向の説明は本当に分かりやすくて
先生の教え方より上手だった。


「ありがとう…日向頭いいんだね」


そんなの、悪いとこ無しじゃん…



「俺に出来ねぇ事はない」



……自信たっぷりだね。
まぁ、実際そうなんだもんね。


何も言えません。





午前中の授業が終わり
迎えた昼休み。