「いやっ…」
と、その手を振りほどこうと
腕を振るが離してくれない。
逆に握る手の力を強くする。
怖くて、声が出せなくなった。
そんな私に気を良くしたのか、
もう一人の男が私の耳元に息を吹きかけてきた。
「…っ」
気持ち悪い。
全身に力が入る。
誰か…助けて。
恐怖で涙が溢れてきた。
「何してんの?」
私たちの頭上からした声に
思わず勢い良く顔を上げた。
ドアにもたれて、こちらを見る
その人は、日向だった。
どうして、日向がいるの…?
男2人も驚いたのか私を離して
硬直している。
「何してんのか、聞いてんだけど」
こっちには近づいて来ないけど
威圧感がハンパない。
男2人はその威圧感に負けたのか
「すいませんでした!!」
と言って逃げて行った。
私は安心して、その場にヘナヘナとしゃがみ込んだ。
そんな私を見て、日向は
私の前にしゃがんで私の顔を覗き込む。
ちっ、近っ!!
息がかかるんだけど…
あまりの近さに下を向く。
すると、「ふっ」と彼の笑う声がした。

