「皐月!迎えきた!」


それからというもの

神谷の親友の話は皐月から聞くことはなくとりあえず関わってはいないことに安心する

帰りのHR終了後光の速さで皐月を迎に行くのは恒例のことで3組の人達もまたいつものか、と思うくらいまで慣れてきたある日

皐月の隣には可愛らしい女の子が座ってた


「あ、葉月、ちょっとこの打ち合わせ終わるまで帰れないから先帰ってて、今日は練習あるんでしょ?」


サッカーのクラブチームに入ってたうちは学校が終わったらすぐにクラブチームの練習場所へ行く

だからか、皐月に用のある日は先に帰らないと練習時間に遅れるからたまにこういう日がある

でもいつもと違うのが

隣にいたあの女の子

少し納得いかないが怒らせるのも面倒だから頷いて教室を出ていき自転車置き場まで1人でいく


「誰なんだろ、初めて見た子」


頭の中はそればっかで少し危うい運転をしながら帰ってれば後ろから凄まじいスピードの自転車が来てよけようとしたら並走してきた

こんな気分悪いのに誰だよ

横を見ればあいつだった


「なんだよ、今調子悪いのー」

「喧嘩か?オセロ姉妹が?」


いちいちつっかかってくるこいつに毎度腹立つ


「お前さ、依存しすぎ、少しは一人立ちしろよな」


ほんとに人の機嫌を悪くさせる天才だなと思うが確かに反論はできない

依存してるのも、皐月を縛ってんのも自分でもわかってるけど

抜け出せないのが本音でそーゆーとこにもイライラしてたんだ


「うるさい、神谷にはわかんないよ」

「わかっちゃうんだなー、これが」


返答ウザイから拒否

と思ったけど次の言葉にうちはつくづくこの神谷という男とは話したくないと思った


「だって俺は孤独に生きる王子だからな」


自分で言って自分で笑ってる

うちは全速力で距離を置いて神谷との別れ道まできて止まることなく曲がった


「葉月はさ、葉月だろ?お前は皐月とセットで葉月じゃねーんだからな」


聞こえてきた声

はっきり漏らすことなく聞こえた言葉に

少し涙が出たのは内緒