「え、えっと…すみません、」
クマの着ぐるみを着てるだけで中身は人だよね?と内心ドキドキしつつとりあえず謝罪した
クマは背中のリュックから袋を取り出し私に渡す
受け取ると中身は小麦粉と飴が入っていた
今だに止まらない涙を袖でゴシゴシ擦りつつ私は深めに頭を下げた
クマの手が伸びてきてそのモフモフの手で優しく目に溜まって流れた涙を拭ってくれる
その行動に嬉しくなってきてまた余計に涙が出てきた
人前で泣くのは何年ぶりだろう
クマは両手を広げて「おいで」と言うような身振りをしてきたので私は何も考えずにクマに飛びついた
大きくて優しくて私の気持ちを理解してくれる
優しく背中を撫でたり頭を撫でたりしてくれたが、少し身体を離せば私の手を取り一気にグラウンドに向けて走り出した
「え!ちょ、あのー!」
「早くしないと、障害物競走始まる」
少し可愛さを意識したのかぎこちない話し方をしてる
でも声はとても低くてそれが逆に私の耳に響いてきてクマの手を握り返しグラウンドまで走った
先生のところまで行き小麦粉と飴を渡しにいき無事自分の仕事を終えて待ってたであろうクマのところに行こうとしたが姿はなくなっていた
あのクマは何だったんだろうと思う反面
あのクマがいなかったら私はどうなってたんだろうと思った
ありがとう
またあのクマさんにお礼が言えたらいいな
クマさんヒーロー
私だけのヒーロー
きっとまた、会えるよね?

