葉月side



やっと体育祭が来た

今まで優と協力して体育祭を盛り上げるために頑張ってきたから嬉しいけど

この体育祭が終われば優とは話すこともなくなるのかと思ったら少し切ない気がした

どんどん競技が終わっていく中で優と当番だったタイム係の仕事に向かう


「葉月おせーぞー」

「優早すぎ、まだ集合時間じゃないしー」


そんな会話をしながら待機場所で2人で待機する


「葉月、俺さ…ちょっと体育祭終わるの切ない」

「ん?」

「体育祭のことで話したりしてたけどこの体育祭が終わったら俺らは話すことなくなるのかな?」


反則笑顔を向けられながら同じことを考えてたことに嬉しくなった

体育座りした膝と膝の間に顔を埋めて赤いであろう顔を隠してみる


「話したかったら話しかけてよ」

「いいのか?」

「う、うん…寧ろそうしてほしい」


精一杯声を出そうとするけどか細い声しか出ない

多分、緊張してたんだ

優は満面の笑みを向けて私の頭をクシャっと撫でてくれるそれが安心できて顔を上げれば凄く近くにあった優の顔に驚いて少し避ける

優はさみしそうな顔をすればニコッとまた笑い2人でタイム係の仕事を始める

そのあと気になりすぎて競技に集中できなかった

午後の部の中盤になりかけくらいで先生に呼び出された

職員室に障害物競走用の小麦粉と飴を忘れたから取りに行ってほしいとのことだった

特に仕事もないし、優も何にかしら競技があるのかどこにも見当たらなかったので職員室に取りに行くことにした

職員室までの道で生徒のほとんどが通る道と抜け道のような細くて狭い道があってそこはかなりな近道だった

早めがいいかと思ってその近道に行くことにした

途中分かれ道があり片方は職員室に、片方は行き止まりがあってもちろん職員室に行く方の道に行けば行き止まりのところに2人の人影を見つけた

見たくてみたわけじゃない、でも、みえちゃったんだ

女の子と絡み合い熱い口付けをする優を

竦んだ足は前に進むことを忘れたかのように止まってしまい逸らそうとしても逸らせない目があった


「優~、ばれちゃったよお~?」


女の子の間延びした声、それを塞ぐ優の口付け


「こーゆープレイもあるだろ?」


口を離したかと思えばそう呟き私を見て微笑んだ

その瞬間条件反射のように足が進み目からは涙が出てきた

抜け道を抜けるとポフッと柔らかいものと衝突したが上手く向こうが受け止めてくれたみたいで倒れることはなかった


「す、すみま……クマ?」


そこにいたのは大きな着ぐるみのクマさんだった