隼人side



今、猛烈にイライラしてる

理由は葉月が須賀澤くんとかゆークソみたいな爽やかイケメンとべったりだから

別に葉月のことが好きとかじゃないと思うけど、無性に腹が立ってあいつらが話してるとこ見ると無意識に孝輔の元に足が進む

孝輔のやつも最近はあんまり構ってくれない

でも、最近構ってくれるとすれば皐月だった

俺の過去を知ってからかそれとも同情なのかはよく分かんねえけど皐月だけは俺を1人にしなかった

でも、もう一つ

最近やたら近寄ってくる孝輔のクラスの愛梨とかいう子

確かに可愛いけど、優しさがない気がする

ほら、俺がふてって孝輔の元に行くと同時にその子も近づいてくる


「あ、また来たの?
瀬野さんも須賀澤くんとよくいるよね」

「あ、うん?
でも同じ体育委員だし、話し合いしなきゃなのは仕方ねーだろ」


何も言ってないのにそう言われて

こちらも少し動揺する

そんな姿を見た孝輔は俺の頭を掴んで教室からでるように指示する


「飲み物、瀬野がさっき買いに行ったんだけど
頼まれた分もあって多いから暇なら手伝ってこい」


そういって追い出す

人使いが荒いというか良い人なんだか、

俺はそう言われたからとりあえず自販機に向かうと大量の飲み物を持った皐月がいた


「ちょ!お前、そんなに何で…」

「買いに行くから欲しい人聞いたらこんな量になっちゃって、でも苦でもないし」

「2、3本で断っとけよ」

「ほら、でもこうやって助けてくれる人いるなら断らなくて良かった」


たまに大人しい性格の中に現れる少しギャップのある言葉

それが俺に気を許してる感じがして嬉しかった

それは葉月も同じことだけど


「俺が来なかったらどうしてたんだよー」

「でも、弥代くんが大丈夫って、そのうち助けに行くからって言われたから…」


俺が皐月の頭を小突けば皐月は少し目を細めて痛いようなリアクションをとる

孝輔はお節介だなって思った

俺が気になってるのは、皐月じゃなく葉月の方だから

でも

あいつは知ってるんだ

皐月の気持ちを、俺も鈍感じゃないからわかったけどその気持ちにまだ頷くことはできない

少し罪悪感を残しながらも俺は6本あったペットボトルのうち4本を持って教室に向かった