皐月side



もうすぐ体育祭

ノリに乗ってるのは多分、たぐちゃん率いる2組

私達3組はおじさん先生の塩原先生だから何となく文化祭の方がやる気なためか、体育祭は少し諦めてるとこがある

私の隣の席の子以外は…


「はいはーい!俺が体育祭勝たせてやる!
だからーー、俺を体育委員にしてください!」


この子は、ああ…野山 航平(ノヤマ コウヘイ)だ

そういえばこの子もサッカーのクラブチームに入ってて確か、神谷くんと同じチームだった気がする

周りもあまりやりたい人がいない体育委員は立候補がいればその子で決まる

でも

この人は何とも不運だ…

だって、立候補者がもう一人いたから

一際大きい身長で顔も整っていて少しクール

野球のクラブチームに入ってて今人気急上昇中の神谷くんと幼馴染みの弥代 孝輔くん

黙って手を挙げている

キッと弥代くんを睨みつける野山くん

そんなのも気にせずに立ち上がって前に出ていえば教室中を見回して一呼吸を置いて


「体育祭、俺には盛り上げてやりたい人がいる
本気でやらなきゃそいつが多分、悲しむから
そのためにも俺に体育委員をやらせてほしい」


真っ直ぐと人の目を見て

胸を張って言った言葉に女子はもう言葉すら出てこなくて寧ろ空気が出っぱなしになってて

それを見た男子が少し冷やかすようにヒューヒューと言ってたが今の弥代くんを見てたらそんなことを言っていた男子も黙ってしまった


「だ、誰だよ…そいつ!」

「2年の最後に転校してきた神谷隼人だ」


ムキになった野山くんの発した言葉で全てが決まってしまったんだ

だって、美形男子の幼馴染みのために他のクラスというのにその子のために盛り上げたいと言ってる姿に周りが圧倒されたから

その姿を見て、どこか私も神谷くんのために盛り上げたいと思えてきた

運動神経も別にいいわけじゃないし、リーダーシップだってないんだけど、弥代くんと神谷くんを笑顔にしたいと思った

多数決で弥代くんに決まった

私の自論だけど、多分野山くんは神谷くんと対決したかったんじゃないかな?って

渋々席につく野山くんに少しだけ、心の中で拍手した


「では、女子で体育委員やってくれる人おるかな?」


ここは勇気を振り絞って手を挙げよ!って思った瞬間それはある人の声によって縮こまった

声を出して手を挙げるその子は3年で1番の美女である美和 愛梨(ミワ アイリ)ちゃんだった

そんな子に勝てるわけない、私は体育委員を断念した

その選択が後で後悔に繋がることにも気づかずに