放課後になって掃除が終わった教室の自分の机に伏せて須賀澤くんを待った


「あれ?寝ちゃったかな
瀬野ちゃん?おはようございます」


肩を叩かれ少し重くなった瞼を開ける

サッカーのクラブチームに入っている私は今日たまたまオフだったからこうやって放課後集まることになったから心なしかラッキーとか思っていた


「ごめん、寝ちゃって」

「ちょっと寝顔見ようかなとか思ったけど伏せてるから見えなかったよ、残念」

「寝顔なんか、見てもいいことないよー」

「うん、何かいいこと起きそうでしょ?」


こんな風に人懐っこく笑う人なんだ

打ち合わせをしながらも相手のころころ変わる表情を見てるのが嬉しくていつの間にか最終下校時刻になってた


「瀬野ちゃん、面白いね
俺こんなに女の子と話したことなくて楽しかった」

「それはないでしょ、彼女とかいなかったん?」

「うん、なんか特別な存在つくると失ったときに辛いでしょ?」


須賀澤くんの言葉にどことなく共感できた気がした

特別な存在はつくらない

今までの自分がそうだったから


「じゃ、帰ろっか」


もたもたしてる自分に一声かかる

帰る方向も違うのにと思って顔をあげて首をかしげた私を見て腕を引いて廊下に出た


「え?だって、方向違うし…」

「こんな遅い時間なのに送らないとかないでしょ」


須賀澤くんの言葉が嬉しくて

まだ話したくて

言葉に甘えて送ってもらうことになった

中学初のこんな状況に

初めて感じた感情が嬉しくて

いつの間にか須賀澤くんを知りたいと思ってた