孝輔side



隼人が転校してくるのを聞いたのは丁度転校してきた日の前日だった

あいつが辛いとき、傍にいてやらなきゃならなかったのに、俺があいつを置いていったんだ

それからか、

辛そうにしてる人を見ると隼人を思い出してはその人を助けることができなかった

いや、ただ逃げてただけだった

だからあいつが転校してくることを聞いたときは

あいつの態度、あいつの反応が気になってどうしようもなく震えてる自分がいたんだ

でも知ってた

そんなことで人を避けたり、嫌いになったりするようなやつじゃないことくらい、知ってた

だから余計に俺に一発拳でもぶちこんでほしかったくらいなんだ

でも

そんなことをするやつじゃない

寧ろあいつは笑顔で嬉しそうに近づいてきてはあの時のまんまでその姿に俺は肩の荷がとれた気がした

それもこれも隼人のお陰だったんだ

だからこそ俺は隼人と再会して誓ったことがある

それは

落ち込んだり1人のやつとかを助けてやること

俺にできることなんてないかもしれない、でもやろうとしなきゃ始まらない

俺はもう隼人を1人になんてしねぇ

ずっと俺が

隼人の弟、郁人(イクト)の分も

こいつを幸せにしてやる

まだまだ現実を甘く見てた中2の冬

この時の俺は

ただ、願いだけで生きてるだけだった