隼人side
教室で1人机に向かって何かをしてるのは双子の姉の皐月のほうだった
転校初日からうるさくつっかかってきた葉月の横にいて苦笑いしながら俺をみてるのに気づいた時から何となくこの2人が俺と重なった
それでか
俺はこの双子が気になってしょうがなくて毎日一緒にいたらいつの間にか仲良くなってた
夕日に照らされた教室に1人いる皐月の机に足が進む
単純だけどよくわからない行動
気がつけば弟の話をしてた、無意識だった
皐月は手を止めて俺の話を聞く
その行動が葉月とは違う、どこか優しく俺に話しやすい環境を作ってくれてるようでスムーズに話が進んでいきいつからか、俺の頬を伝う涙は皐月の手によって拭われ
目を開ければ俺の額に温かい柔らかい皐月の唇が当たっていた
我に返ったときには恥ずかしすぎて顔を隠したけど皐月の謝る声に別に謝らせたい訳じゃなかったからすぐに俺も顔をあげて言葉を発する
皐月はありがとうと何度も俺にお礼を言ってきた
多分、気づいてくれたんだ
お互いが依存し合っててこのままじゃ駄目だってこと
きっとそれは皐月だから気づいたこと
その皐月に葉月はそのうち気づいてくれると思うから俺は立ち上がりそれ以上何も言うことなく教室を出ていった
日は落ちて少し暗い廊下をひとり歩いてれば正面からやってくるあのデカい男に出逢う
「まだいたのか?」
「お前待ってたんだよ、あほ」
知ってる
けどお前は笑ってそんなことを言ってくれる
走って孝輔の元に行けば軽く頭を叩かれる
不器用なんだ、
あいつは優しいから俺を励ましてくれる
弟の話をしたことに気づかれたんだな、俺はそっとあいつの肩に腕を回して
「よし!帰って肉食うべ!」
俺の言葉に孝輔は笑って返してくれる
弟が亡くなった時
俺を支えてくれた俺の大事な友達で親友
であり
かけがえのない俺の大切な人

