あの人が裕太さん…。
お姉ちゃん、いつも裕太さんのこと話してたっけ。
名前は出さなかったけど…。
すごく幸せそうなお姉ちゃんを思い出した。
「琴音ちゃん?
泣かせるようなこと言ってごめん…」
え…?泣かせる…?
私。気づいたら大粒の涙がこぼれていた。
「琴音、1回トイレいく?」
「ううん。大丈夫だから。」
美結がいてくれて本当によかったと思った。
私一人だったら、玄樹さんにいっぱい
迷惑かけてたと思うから。
美結にも迷惑かけてるのに…。
「琴音、愛ちゃんのこと思い出したんだね。
今日は我慢しなくてもいいんじゃない?」
「琴音ちゃん。俺にも話してくれないかな…?
無理にとは言わないから。」
二人の優しさにもっと涙がこぼれた。
今までずっと我慢してきたものが、一気に溢れだした気がした。
頬を伝う涙を優しく拭ってくれる美結の手に
何度もお礼をいった。
お姉ちゃんのことを玄樹さんに話すなんて思ってもみなかった。
でも、なんだか心が楽になれた気がした。
お姉ちゃんのことを忘れたふりして笑ってたこと、
美結は全部、わかってたんだ。
改めて美結に感謝しなきゃいけないと思った。
「琴音、もう我慢しなくてもいいよ。
頑張ったね。もう、無理しないでね…。」
「琴音ちゃん、俺、琴音ちゃんの支えになるよ。
美結ちゃんと一緒に支えるよ。」
「美結、ありがとう。玄樹さん、すいません…。」
「全然気にしないでいいいよ。琴音ちゃん、辛かったよね。」
「でも、もう大丈夫です。私がくよくよしてたらお姉ちゃんに怒られちゃいますから!!(笑)」
「そうやってまた、笑うんだから。
でも、琴音が元気になってくれたらそれだけでいいからね。」
「うん!美結、本当にありがとう!!」
「いいえ!!
玄樹さん、このことは裕太さんに…。」
「言うつもりはないよ。ってか、俺が言えないよ(笑)」
「そうですか…。」
