いつも恋して・・・

「えっ?!あっ新しい物を買いました。」


どれくらい時間が経ったのか、急に話かけられて慌てて答えた。


「そう・・・。」


「引越しの準備をしていたのに長い時間付き合わせて悪かったね・・・」


廉はいつもの口調とは全く違う言い方で別れを言った。


「おやすみなさい・・・気をつけて帰ってくださいね。」


「・・・。」


廉からの返事は何もない。


ただ少しだけの笑顔を見せた。


梨佳子は廉の弱々しい姿を初めて見たので、気になってすぐにはマンションに入っていかなかった。


廉は車の窓を開けて、


「入ったらいくから~早く入れよ(^-^)」


弱々しい笑顔で梨佳子を見送った。


梨佳子は1度だけ振り返ってからマンションに入った。



廉は自分の社長の息子という立場が、生真面目な梨佳子を追い詰めた事に無性に腹が立った。


離したくないのに・・・・離さないと苦しめてしまう・・・・


そう思うと彼女の行動を認めざるをえない。


廉は生まれて初めて、お金や自分の意思だけで手に入らない物がある事を知った。


梨佳子の姿が見えなくなってからもまだ廉は車を動かせずにいた。


NYに行く前には、この場所で自分の腕の中にいた梨佳子が半月あまりで、すごく遠い人になった事が悲しすぎて気が変になりそうだった。



♪~♪~


「田畑です、遅くにすまない。」


廉は秘書に電話をした。


「明日、山内梨佳子を見張ってて欲しい。」


「彼女は家を探しに行くはずだから、俺のマンションを借りさすように手を回してくれ!」