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「ただいま~」
玄関で靴をぬぎながら言うけれど、予想どおり応答はない。
スマホの時計を見ると、お母さんが帰ってくるのはもう少し先だった。
家に誰もいないのはいつものことだから慣れてる。
あたしは小学生のころから、家ではたいていひとりで過ごしてきたから。
お父さんはもの心がつく前に亡くなってしまい、うちは母子家庭。
そしてお母さんの仕事柄、
あたしたち親子が家の中で顔を見合わせるのは週末だけ。
だから毎回、『寂しかった』と苦しいくらいに抱きつかれる。
ちょっと子どもっぽくて、けっこうおちゃめなお母さんだけど、
あたしを女手ひとつで育ててくれた、たのもしいキャリアウーマンだ。

