「紫乃ちゃんは傘持ってきてる?」
雨が打つ窓を不安そうにながめていたみゆきが、あたしに問いかけてくる。
「うん。折りたたみ傘があるよ」
「そっかあ。放課後には止んでるかな~……」
いまはまだ小ぶりだ。
これから本格的に降り出すのか、すぐに止んでくれるのか……。
降水確率じゃそれはわからないから、止むのを祈るしかないけど。
「みゆき。もし止んでなかったらあたしの貸すよ」
「え!? そんなの悪いよ!」
「大丈夫。みゆきの家ここから遠いし、濡れて帰ったら風邪ひいちゃうでしょ?」
学校からみゆきの家は、歩いて20分かかる。
あたしの場合はその半分の10分程度だし、帰ってすぐお風呂にでも入れば大丈夫だ。
あたしのかわいい天使に、風邪をひかせるわけにはいかない!

