すると、リビングのドアを開けようとした彼の手がぴたりと止まった。
靴を脱ぎ終えたあたしは、二宮くんのそばへ向かう。
「羽山」
「はい?」
いきなり名前を呼ばれ、ちょっとおどろいて返事するあたし。
二宮くんはドアノブから手をはなしてあたしと向き合った。
かと思うと、すっとあたしの横髪を指でさけ、ゆっくりと頬に触れてくる。
まるで、壊れものを扱うみたいに優しく。
まっすぐあたしを見つめてくる黒い瞳に、どくん、と心臓が飛び跳ねた。
「え、に、にの……?」
とまどうあたしに、二宮くんは小さく目をほそめた。
「……あんまりほかの男に、笑顔とかみせないで」

