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高校に入学して1ヶ月。
そのあいだにあたしは、ヒーロー系女子というキャラを確立してしまった。
理由は至極単純。
みゆきのかわいさに群がる下心まる見えな男を、徹底的にたたきのめしてきているから。
「紫乃ちゃん、昨日はありがとう! お礼にマフィンつくってきたのっ」
朝のあいさつが飛び交う教室。
あたしの席に駆け寄ってきたみゆきが、きれいにラッピングされた袋を差し出してきた。
「え、お礼? そんなのいいのに……」
「ううん。紫乃ちゃん、いっつも私のこと助けてくれるもん。
紫乃ちゃんへの日ごろの感謝をこめてつくったから、食べて?」
ふわふわの髪を揺らして、小首をかしげるみゆき。
あたしが「ありがとう」とお菓子を受け取ると、みゆきはかわいらしい笑顔を見せた。
天使だ。
マイナスイオンが放出されてる。

