「あ……葵衣? まだ落ち込んでるの?」
「…………」
「葵衣くん?」
声をかけても、なにも返事をしてくれない。
うつむいてだまりこんだまま葵衣の顔を、ひょいとのぞきこんでみる。
そして、あたしは目をぱちぱちとしばたかせた。
「葵衣、すごく赤っ……」
「……わざわざ指摘すんなよ。わかってるから」
言葉をさえぎるようにして、葵衣に顔を胸に押し付けられた。
よっぽど赤くなってるところを見られなくないみたいだ。
……かわいいのに。
葵衣も、さっきのお母さんの発言に赤くなったにちがいない。
さすがに結婚なんて、まだそんなことは考えてないけど……。
ただいまは、
葵衣とこれからもいっしょに暮らせることが、うれしくてたまらない。
「葵衣、これからもよろしくね」
「……絶対お姉ちゃんなんて呼ばないから」
「そんなのいいよ。あたしだって葵衣のこと、弟だなんて絶対に思えないし」
あたしは顔を上げて、葵衣に笑いかけた。
「葵衣はあたしの、彼氏だもん」
その言葉尻に、
優しいキスが重なった。

