「じつはね、紫乃ちゃん。僕とゆかりさんは高校時代、交際してたんだよ」
「えっ……ふ、ふたりが?」
「そうなの。でも、大学に進学するタイミングで別れちゃって。
あ、嫌いになったとかじゃないよ? お互いの将来のために、ね」
お母さんが当時を思い返すような優しい表情で、二宮さんを見る。
それからお母さんも二宮さんも、べつの相手を見つけて、結婚して。
けれどあたしのお父さんははやくに亡くなってしまい、
葵衣のお母さんも、葵衣が幼いころに離婚していなくなってしまったらしい。
「でね、紫乃と葵衣くんが3歳になるころに、なんと二宮さんと同じ部署に配属されたの。
再会したときは本当におどろいたよ。別れて以来、一度も会ってなかったから」
「へえ……」
なんだか……すごくロマンチックな話。
ちょっとあこがれちゃうかも。
でも、あたしと葵衣も同じような感じなのかもしれない。

