話し終えた葵衣は、あたしを抱きしめる力をそっと強めた。
「……引いた?」
「え?」
「10年も、ずっと好きだったとか……。知られたら引かれる気がして言えなかった」
耳元で聞こえる、ちょっと不安げな声に、あたしはぱっと顔をあげた。
「……そんなわけ、ない」
葵衣の肩に手を置いて、そっとつま先をのばした。
すぐそばで目が合ったことにどきっとしつつ、ぎゅっと目を閉じて。
あたしは顔をかたむけ、勇気をだして自分から唇を重ねた。
ゆっくりと唇を離して、
おどろく葵衣に、安心させるようにほほ笑んでみせる。
「好きって気持ちに引くなんて……そんなこと絶対ありえないよ。
葵衣にずっと想ってもらえてたって知って、すっごくうれしかったし!」
ずっと好きでいてくれてたなんて、おどろいたけど。
好きになってもらえるのって本当に光栄なことだし、
そのままのあたしを好きになってくれてすごく幸せだって思う。

