触れた体温に、きゅんっ、と胸が鳴く。
触れられると、いつもそうだ。
どきどきしてるのに、不思議と落ち着くような感覚がする。
いまあたしを抱きしめてる葵衣は……
あたしのことを、ずっとずっと想ってくれてた男の子なんだ。
「……紫乃が俺に『強くなって』って言ったの、おぼえてる?」
ささやくように言われ、少し記憶をさぐったあたしは、ふと幼稚園の卒園式を思い出した。
小学校では離れるから、これからは守ってあげられない。
ちゃんと自分を守れる子になって、
って意味で、たしかにあたしはそう言った。
「……えっ? あたしが強くなってって言っちゃったから、不良になったの?」
「いや、べつにそういうのになろうとしたわけじゃないけど。なんか……やむを得ず?」
や、やむをえず……?
葵衣にたまたまけんかの素質がそなわってて、いつの間にか悪名が知れ渡ったとか?

