それから葵衣とは、生徒玄関で別れた。
さわぎ続ける生徒に疲れつつ、自分の靴箱に向かったとき。
「しーのっ! しっかり見てたぞー!」
うしろからぴょんと抱きつかれ、思わず倒れそうになった。
びっくりして振り返ると、にやにや顔の奈子があたしに腕をまわしていた。
「お、おはよ……」
「おはよ! いままでずーっと黙秘してたけど、これで言い逃れできないね~?」
「は、はあ……」
言い逃れもなにも、昨日付き合いはじめたんだけど。
奈子は本当にうわさ好きだから、いずれこうなるのは覚悟していた。
まさか、目撃されるとは思わなかったけど。
「あの王子さまと登校なんて、教室に行ったら大変だねぇ」
いたわるような言葉のわりに、顔はにやにやと笑っている奈子。
王子さまの彼女は、やっぱり苦労が多そうだ。
そんなことを考えながらも、
さっき触れられた頭と甘い言葉にうれしくなってるあたしは、そうとう重症なんだと思う。
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