「羽山さん! 手、見せて。開ける?」
駆け寄ってきた柊木くんにうなずき、力の入らない手をなんとか開いてみた。
両手が赤く染まっていたけれど、傷を負ったのは左手だけだ。
利き手は右だから、包丁やシャーペンは持てるな……と冷静に安心していると、
葵衣が銀髪の人を振り返った。
銀髪の人は突き飛ばされた衝撃で倒れたようで、ゆっくりと起き上がるところだった。
「……或音。おまえ、包帯とか常備してるよな」
「もちろん。手当てはまかせていいよ」
「……たのむ」
葵衣は低い声でそう言って、あたしを柊木くんに引き渡した。
柊木くん、包帯とか常備してるんだ……。
いや、もうなにもおどろかないな。
「し、紫乃ちゃんっ、大丈夫……?」
柊木くんのとなりで、みゆきがいまにも泣きそうな瞳であたしを見ていた。
あたしは安心させるように、みゆきに笑いかける。
「大丈夫だよ、全然! 左手だけだし、そこまで傷は深くないし」
「羽山さん、嘘ついちゃだめでしょ。これけっこう切れ味いいサバイバルナイフだよ」

