「紫乃っ!!」
葵衣が乱暴に銀髪の人を突きとばす。
そしてふらついたあたしの体を抱きとめ、あたしの手首をつかんだ。
血液がしたたって、自分のワイシャツが汚れるのもいとわずに。
「っ……だ、大丈夫だよ。そんな、あわてなくても……」
「ばっか、まったく大丈夫じゃねーから!」
お……怒られてしまった。
いや、怒られたんじゃなくて、すごく心配してくれてるんだ。
だってあたしを見る葵衣の瞳が、悔やむように揺れてる。
……よけいなこと、しちゃったのかな。
でも、あのままじゃ葵衣がどうなっていたかわからないし。
葵衣がけがするくらいなら……あたしが代わりを引き受けるほうがましだと思った。
――葵衣を、守りたい。
とっさに浮かんだその気持ちには、どこか既視感を覚えた。
お互いを名前で呼び合うことになった、あの日みたいに。

