「んじゃあ、俺が二宮に電話するわ」
「ああ。たのむ」
銀髪の人が楽しそうに返答し、あたしからぱっと手を離した。
あたしは強く目を閉じて、心の中で祈る。
そのとき、
ふいになにかが風を切るような音が聞こえ、はっとして目を見開いた、
その直後。
――ドッ……。
【通話中】になったあたしのスマホからと、すぐ近くから同時に聞こえた、
鈍い衝撃音。
「ぐ……っ」
しぼるみたいに苦痛の声をあげた、赤い髪の男の人が、後頭部を押さえて倒れこんだ。
そのそばには、傷ついた黒いスマホが落ちている。
どうやらそのスマホは、男の人の頭に命中したらしい。
そのスマホを、あたしは知ってる。
そのスマホの持ち主を、知ってる。

