見えもしない相手の声に誘導されて、あたしは歩き出した。
指定されたのは、小さな書店の裏。
このあたりに書店は、ショッピングモールを抜けた先にある1軒しかない。
ずっとスマホを耳に押し当てていると、
電話の相手以外に男の人が2人ほどいるのがわかった。
そこにみゆきはいるのか。
知りたいけど……それはたずねるよりも、自分の目で直接たしかめなくちゃ。
すでにショッピングモールのそばまで来ていたので、距離はそんなになかった。
書店と喫茶店のあいだの通路を進んでいくと、
スマホから届く声と同じそれが、だんだんはっきり聞こえてくる。
ここまで来て、あたしは歩く速度をゆるめ、立ち止まった。
胸元に手をおいて、静かに息を吐く。
大丈夫。
なにが起こるかわからないけど、大丈夫。
なにが起こったって……
葵衣が助けにきてくれるから。

