ま、まさか二宮くんからそんなリクエストが来るなんて……!
予想外のことにおどろき、さっき感じた一瞬の既視感なんて、すぐに頭から消え去った。
「よ、呼び捨てでいいの?」
「うん。俺のこと呼び捨てにする女は、ほかにいないから」
「じゃあ、あたしだけなんだ!」
二宮くんの言葉がうれしくて、つい声をはずませてしまう。
だってそれって……“葵衣くん”よりももっと、とくべつな呼び方ってことだもん。
「そういえば、あたしも名前を呼び捨てしてる男の子っていないなぁ」
中学のときの彼氏のことは……名前で呼び捨てだったけど。
それは二宮くんの前で言うべきじゃない。
「そもそも名前で呼んでるのも、拓海くんくら……」
「そいつの名前、……出さないで」
あたしの声をさえぎって、二宮くんがぼそりとつぶやいた。
ん?
な、なんだかちょっとふてくされてる……っぽい?

