「あれ? 二宮くん、いな……」


「へ?」




みゆきのきょとんとした声に、あたしはすぐに言葉をのみこんだ。

けれどほとんど言ってしまったのでまったく意味がない。



なにやってるの、あたし!

いまさがすのは二宮くんじゃなくて柊木くんなのに! あほだ!




「紫乃ちゃん、二宮くんのこと好きなの?」


「い、いや、そうじゃないよ! ほら、学校の王子さまだし興味があって!」


「ああ! そっかぁ」




あせって言い訳するあたしに、納得したようにほほえむみゆき。


ああ、またかくしごとしてることに罪悪感が……!



心の中で泣きながら、あたしはもう一度、教室をのぞきこんだ。

今度はちゃんと柊木くんをさがした、けれど。




「……柊木くんも、いない」