リビングのドアが思いきり開いたと思ったら、勢いよくあらわれた女性。
彼女はあたしを見つけると、
またたく間に表情をかがやかせ、「紫乃ー!」と容赦なく飛びついてきた。
うしろに倒れそうになりつつ、あたしは笑って「おかえり」とお母さんを支える。
「わたしのかわいい紫乃! すごく会いたかった! お母さんさみしくて死んじゃうかと思ったー!」
「そのせりふ先週も聞いたよ」
「いつもよりお仕事がんばったよ! だから今週末は2日間お休みもらえたの!
わーいっ、お母さんやればできるーっ!」
それはもちろんわかってる。
娘が胸をはって言えるくらい、お母さんはデキる女性だ。
こんなふうに無邪気な子どもっぽいけれど、とてもしっかりしている。

