教室という小さな箱の中が、世界の全てのような気がしていた頃は、口に出来なかった思い。


派手な俺が、地味な藤浦さんを好きだというのは許されなかった。


……そんなの誤解で、意外とお似合いカップルになったのかもしれないけど。


自意識過剰のカタマリだった俺には、認められなかったこと。


だけど今なら分かること。


俺は、藤浦さんが、好きだ。



狭い田舎を出て、俺達は自由になったんだ。


自覚したら、気持ちが楽になった気がした。


お会計の端数をじゃんけんで負けた方が払おう、と藤浦さんが言ってきた頃には、


なんだかもう楽しくて仕方なかった。


……いや、最初から滅茶苦茶楽しかったんだけど。


楽しんでいる自分を、ついに認めたというか。