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「……遥流さん、それが恋です」


「はああ?」


駅のそばの大衆居酒屋。


8割がサラリーマンではないかと推測される店内で、俺とやっさんは酒を飲んでいる。


仕事が上がるとき、ちょーっとだけ、付き合ってくれー、とお願いしたのは俺。


お兄さんだし、今日はがっつり奢ってやろうと思っている、太っ腹な俺。


もう季節はすっかり秋だと言うのに、店内は南国も真っ青の、熱気むんむん。


「うおーーーーー、うまい」


やっさんは、あだ名や性格に似合わず″生搾りグレフルサワー″が一番好きだ。


あの、半分にスパンと切った生の果実がたまらないらしく、女子のように「絞れなーい♪」とはしゃいでみたりして、毎回満喫している。